ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

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原題:Extremely Loud & Incredibly Close

2011年・アメリカ

 

アスペルガー症候群を抱える11歳の少年・オスカー(トーマス・ホーン)は、父と調査探検をすることで人と関わることの経験をしていた。

しかし、そんな父を9.11で亡くした彼は、父が遺したカギが当てはまる鍵穴を探し始める。

 

 

 

 

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死は、突然やってくる。自分も、愛する人も、家族も、友達も、みんないつか死ぬ。それでも普段から常に死を隣に感じているわけではない。いつも通りの日常を過ごしている中で、死は、突然やってくるのだ。

この作品を観た時、私が生まれる前から飼っていたペットの犬や、数年前に亡くなった祖父のことを思い出した。死はいつも突然だった。

私が小学校から帰ると、以前から体調を崩していた犬が、小屋の中で動かなくなっていた。檻ごしに触れたら冷たかった。

ほぼ寝たきりになってしまった祖父に、冬休みを使って会いに行った。言葉も喋れず、動けず、私が知っていた当時の姿からは全く想像のつかない祖父に、何と言ったらいいか分からず、帰る時に少し、ほんの少し手を握っただけだった。それから少しして、学校の休み時間に携帯を確認すると、母からメールが入っていた。亡くなったと。

 

どの別れも突然で、受け入れることなんて到底できなかった。9.11なんてもってのほかで、その死はあまりにも突然で理不尽で、受け入れられるはずがない。

主人公のオスカーは、人とは違った見方が出来る子供。だから父の棺桶に何も入っていないことに憤慨して、靴でもいれておけばよかったんだ!と言う。オスカーにとってはお父さんが唯一の味方だったのかもしれない。オスカーがカギを持ってニューヨーク中を駆け回るのは、父の死を受け入れ、乗り越えるために必要な調査探検だったんだろうな。途中、何度もくじけそうになってパニックを起こすけれど、「探すの"が"やめない」と新聞の一部に赤い丸印がつけられているのを見て、彼は調査を続ける。その調査がいつしか出会った人々を繋いでいくのだ。

 

彼は孤独なんかじゃなかった。出会った人々、お母さん、おばあちゃん、間借り人…色んな人に支えられて調査探検を続けられた。たとえどんな結末を迎えようとも、それが最善の選択だと調査探検の末に彼は知ったのだ。

 

どうか見てほしい。悲しい経験をした人々に。

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